月ヶ咲には二年間、春が訪れていない。
四季に関わらず、雪は降り続いていた。
ゆらゆらと舞い散る白い結晶。 だがその雪は、決して積もることがない。
それは優しい雪だろうか。 それとも悲しい雪だろうか。
積もらない雪のほかにも、突発的な竜巻、落雷、川の増水などの異常気象が街では続いている。
組織の命で、謎の異常気象から 2人の少女を守ることになった主人公──榛名陸。
彼は “エルフィン” と呼ばれる存在で、“ルーン” という不思議な力を操ることが出来るため、学生の身でありながら人命救助といった仕事を続けていた。
訪れた街は、過去にも住んでいた月ヶ咲。
雪のように真っ白な出で立ちの彼女と、雪合戦をしたり雪だるまを作ったりと遊んでいた。
だが、懐かしいと思う間もなく事件は続く。
陸は仲間たちと共に、そんな日々を駆け抜ける。
月ヶ咲の雪空の下。 もう溶けて見えなくなった、雪道の足跡を探して。
きっとこの先に、彼女が待つのだと信じて。
今日もまた、春の訪れを予感しながら、冬の想い出を見上げている。